株式会社juura -
6月
27

モータージャーナリスト、笹目二郎さんコメント

written by juura

 

モータージャーナリスト、笹目二朗さんにSSBSについてコメントをいただきました。

 

笹目さんのブログです。
笹目二朗的風景

ブレーキは、ペダルを踏みさえすれば減速し、停止するもの・・・と思い込んでいる人は多い。
現実に法規があり、それをクリアするだけのスペックは、どんな車もその要求を満たしている。
だから無頓着な性格の人は、これでいいじゃないか、と看過してしまう。
またその車しか知らない初心者は、こんなもの、と納得してしまっている。

高価格な高性能車やスポーツカーなどは、ブレンボのキャリパーであるとか、凝った装備を並べて、そのスペックを誇っている。
確かに大きなディスク・ローターを使い、穴を開けたり、セラミックやカーボンを使って冷却に努めれば、効きそうな気にもなる。
動いているモノを止めるには、作用点のミュー(摩擦係数)と押す力の掛け算でしかないが、その力を与えるピストンは、片側一方から押す1個よりも、2個で両側から挟むほうが、力は分散し平均化される。
そのピストンをもっと増やし倍の4個にすれば、各ピストンの負担は軽減される。・・・と考えれば、それも悪いことではない。
例えばハブの剛性が低い車など、ディスク・ローターがコーナーの横Gで歪んだりすると、ノックバック現象によりパッドが押し戻されてしまう。
するとペダルを踏んでもブレーキは効かない。
そんな時にもマルチならば、どこかが効く場合もある・・・とか利点もある。
いずれにせよ、肝心なことは、パッドが正確にローターを押す、という精度を確保することである。
数に頼ることはそれだけ均一な作動精度を要求する反面、分散することによるバラツキも生じるし、そのバラツキは時に作動時のフィーリングを阻害する。
私が言いたいのは、どんなにいいスペックであっても、ちゃんと正確に作動させないと本来の効力を発揮しえない、ということだ。

ディスク・ローターの動きを止めるのはむしろ簡単。強い力を掛ければいい。
これをロックと言うが、ロックさせてしまうと、タイヤ踏面の1点だけに頼ることになり、滑ってしまえば制動距離も伸びる。
左右差があればヨー方向のモーメント(鉛直軸周りの回転)が発生して、スピンを招いたりする。
だから油圧を加減して逆に効かせない方向へ逃がす。これも器械や電気装置に頼ってしまうのが最近の傾向である(ABS)。
しかし断続させる作動は大雑把で味もそっけもない。
その微妙な部分を器械や電気に頼らないで、自分の足の力の込め具合で、ロックさせないようにコントロールできれば、フィーリングは上々。
サーキットなどでは、最短の制動距離にチャレンジすること自体楽しいし、公道上でも安全に寄与する。
制動初期の減速Gの立ち上がりを攻めることは、制動距離を詰めることに一番寄与する。
ここはとりあえずガツンと強く踏めばいいが、問題はロック寸前で少し力を抜く時の感触、その後のロック付近を維持する時のコントロール性だ。
微妙に踏力を抜きながら踏み込むような操作をする時、パッドとローターの接点具合が直接靴の裏に感じられなければならない。
最近の車のブレーキは結構よく出来ている。
普通の日常生活ではほとんど問題はない。
だからと言って現状に満足していいわけでもない。
微細な部分の作動精度を上げる、いわゆるチューニングの領域をかいま見ると、量産型のブレーキがいかに雑に作られ、組み付けられているかがわかる。

少し前になるが、自分のアシ車であるルノー・メガーヌを、壽浦さんに診てもらったことがある。
そして軽くチューニングを受けて乗っていたが、その後メガーヌのATが壊れてしまい、クーペ用のパーツを移植してMT化した。
その際にデフやドライブシャフトも交換となり、それに伴ってブレーキもクーペ用が移植された。
その時点で壽浦さんのチューンが失効して元に戻った。
その2度にわたる前後の違いは大きかった。これは新車と使用過程車との違いとか、通常のパッド交換の前後とか、そんなレベルではなく、まったく違うモノを試している感覚で、ここまでキッチリ作動感覚を詰められるものか、と思うほど。これは実際に試してみなければ、想像するだけでは判らないだろう。

じっくり考えてキモになる部分を探すと、作動精度の違いが大きいような気がする。
パッドがローターに押しつけられる際に、しっかり全体が直角に当たっていたものが、ノーマルはユルユルと動きながら押しつけられる感覚で頼りない。
パッドがピッタリ当たってないと、踏んだ感触はスポンジーだし、部分的に強弱が生まれ温度分布も違いがでるためか、カーボンの発生も大きい気がする。
ホイールが黒く汚れることが多くなった。またブレーキを放した瞬間、パッドの戻りが変化したのは明白。
踏む/放すのレスポンスがはっきりしていて気持ちいい。
ノーマルに戻したら、動きがダルで引きずりがちになってしまった。
ま、これらは微妙な領域の感触であって、例えばパッドの戻りに関係する走行抵抗などを問題にすれば、燃費などにも影響するかもしれないが、燃費に関しては他のエンジン関連のデバイスのテストも兼ねているので、こちらだけの影響は不明。

個人的な印象としては、いろいろな向上代に対して投資額はやや高め。
たしかにビフォー/アフターの違いは大きいし、実際にやってもらう時間工賃のような経費と考えれば妥当なものだと思う。
が、ノーマルのままでも乗れないことはナイ・・・と消極的に考えてしまうと、これはビジネスとしては難しいと思う。
でも、一度この好フィーリングを味わってしまうと、整備技術だけでここまで詰めることができるのならば、余裕があれば是非やってもらいたいものの一つ。
この文面の前半に少し長めに書いた部分の確認では、確かに満足できるレベルになり、ピストンは1個でもイイカ、と思えるようになった。
象徴的に言うならば、強く踏んでロックさせた時にはもう車は止まっている。

だから趣味の領域と考えるならば安いもの。
ましてレースなどの勝ち負けを左右したり、1秒の数分の1を争うような状況では優位差ありだから、これは価値あるチューニングと言えると思う。
(2009.8.10 笹目二朗)

 

笹目さんがブログに投稿いただいた記事です。

パンダのある風景(26)−ブレーキのスペシャルチューン

パンダのある風景(27)

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